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岡本綺堂『半七捕物帳』に収まる「津の国屋」の前半部分を検討した。
本話の中には、いくつかのモチーフが認められるけれども、今回は「消える乗客」を取り上げた。
「津の国屋」においては、不可思議な女性が駕籠に乗って津の国屋を訪れ、忽然と姿を消してしまう、という場面がある。駕籠賃を請求する駕籠かきに対して、店の者は不審の念を抱く。しかし、津の国屋の主は賃金を支払う。この背景には、主人の後ろ暗い過去があった……
このような乗客が消失するというモチーフは、都市伝説では「消える乗客」と呼称される。著名な話の1つであって、世界各地に伝わる話である。
今回は、近世初期の怪談集『諸国百物語』巻之四の十七「熊本主理が下女、きくが亡魂の事」にある類似の話と比較しつつ、江戸怪談から現代まで続く「消える乗客」について討議した。また、この話を作中に取り入れた綺堂の描写を丁寧に検証していった。報告者:門脇大
会場:京都精華大学C-208 18:30より