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次回の研究会

2020年9月12日(土)17時~
会場:zoom

テーマ:「江戸の怪談サロン」
発表者:門脇大


受講は無料です。
受講を希望の方は前日までに100mono@infoseek.jp(百物語の館 事務局)までご連絡下さい。

※次回より怪文研のお知らせはリニューアルしたホームページで行うことになりました。詳細は最新記事をご覧ください。

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巨大台風が日本横断しましたが、みなさんご無事でしょうか?
私の家のベランダは鬼にひと暴れされたかのようにミニコンテナが飛ばされてしまい、片付けが大変でした。こんばんは、泡沫はなび(あわまつはなび)です。

怪談の流行が戦争や天変地異の不安と大きく関わりがあることは、怪談文芸のアンソロジスト東雅夫さんも指摘する(東京新聞8月18日夕刊「「おばけずき」の時代」)ところですが、今回、播磨の在地怪談を報告していただいた中にもそういった流れが読み取れました。

研究者がたによると、約100年に1度の周期で、かつ、大きな戦争や天変地異の直後に怪談が流行するのだとか。

また、江戸時代の天変地異には疫病や日照りも含まれたもようです。現在だと地震か先日のような台風のイメージが強いですが。
とくに疫病に関しては、怪異のオチ(原因)が実は病気であった、という内容になっている作品も少なくありません。以前に発表していただいた人面瘡の話も、まさにこの系統でしたよね。
他にも中国由来の作品が病気オチであることが多い、とも研究会では言及されていました。
病気は病気でも、今回については寄生虫のイメージですね。
他にも精神病まで話を広げると、専門書がたくさん出ていますので、関連書を読んでみると面白いかも。泡沫は虫が大の苦手なので全く手を出せません・・・(ここまで書いといて?って感じですが笑)

寄生虫の怪異といえば、ネットでこんなものを見つけました。

虫系の妖怪について調べています。虫に関連している妖怪を、できるだけ沢山教えてください。- YAHOO知恵袋

なんと偶然。応声虫は今回の播磨怪談の発表中でも登場しました。
於菊虫はかの皿屋敷怪談に由来する有名な怪異虫ですね。
他にも見たことがあるのは恙虫ですかね。息災であるという意味の「つつがない」の語源になっていると言われています。

この中の知らないもので気になったのは酒虫
日本の妖怪ではなく中国の精のようです。
この酒虫。人の体の内に棲むと酔い知らずの大酒飲みにして、水に棲めば良い酒に変えてくれるんだそうな。
な、なんて良いやつなんだ・・・。
虫嫌いの泡沫ですが、この虫に限っては我が家に一匹、居座って欲しいですね笑

さて話は戻りますが、研究会ではこんな話題も出ました。 「話のオチが病気(寄生虫)になってしまうと、怪談というより民話っぽくなってしまうのではないか?」ということです。
鬼や龍を退治する作品も、怪談文芸には多くみられますが、怪談というより伝説(英雄譚)色が強まってしまいますよね。
そういった「怪談と民話」の違い、「怪談と伝説」の違いってなんでしょうか?
先生方から出た意見としては、
「怪談」 → 娯楽、うさんくさいもの、(基本的に)記録をしない
「伝説(民話)」 → 教育、歴史を語るもの、記録を残していくもの
といったことがあげられていました。 でも、中には教訓のために語られた怪談なんてものもありますし(一種の教育)、一概にハッキリ分かれるものでもありませんよね。

みなさんの中での「怪談と民話」の違い「怪談と伝説」の違いはなんですか?

もし思いつくことがあれば、コメント欄や、怪談文芸研究会への参加で教えて下さいね!
どしどしお待ちしております(^^)

それでは、次回の研究会は我らが元締・堤邦彦先生の発表で、
タイトルは「幽霊画と怪談」です。
このテーマは百物語の館の次回公演「百物語の館~朧月の宵~」でもトークショーを行う予定です。
公演の前に詳しい研究発表が無料で聞けてしまうなんて、お得ですね!笑

次回の研究会と合わせまして、次回の朗読公演のほうもどうぞよろしくお願いします。

泡沫ログno.2
京都はやっと一番寒い時期が過ぎてくれました。
私の住んでいる地域では、昼間になるとマフラーや手袋も要らないくらいです。
研究会は夜なので冷えますけれども。おはようございます。泡沫はなびです。

前回は谷崎潤一郎、その前は岡本綺堂と、明治期の文豪のお話が続きました。
明治の小説家たちは、どの方も江戸の怪談集をとても勉強していて、自身の作品づくりにおいて参考にしていることがよく分かる研究会でした。

類似作品との比較検討は研究において基本的な手法です。
半七捕物帳に使われている「乗り物に幽霊を乗せる」というモチーフは、タクシー幽霊や、百物語の館の公演でもお馴染みであるお菊幽霊の話の籠、首なし幽霊に出てくる馬など、すぐに思いつくので「ありがち」と思いきや、探してみると類似作品の数があまり見つけられなかったようです。
それに比べて、人面疽を取り扱った類似作品は、30作品ちかくも発見することができたと紹介がありました。人面瘡は、名前こそ聞いたことがあったけれど、実際に使われている作品は?と聞かれたらすぐには思いつかないと思います。とっても驚きですね!

漫画大好きな泡沫がとくに気になったのはこちら↓
手塚治虫の『ブラックジャック』…妖怪というより心の内側から出てきた症状として登場。
黄島点心の『甘露に片思い』…なんと人面瘡と恋愛をするラブコメらしい。
星新一『かわいいポーリー』…星新一は短編なので長編小説が苦手な泡沫でも読めそう!
千原ジュニア『人面瘡』…落語だそうな。朗読団体としてはおさえておきたい。

もし、この記事を読んでくださっている方で「乗り物に幽霊を乗せる」っていう話や「人面瘡」をモチーフにした作品を知っていましたら、コメント欄などで教えてくださいね(∩´∀`)∩



あと意見交換時に話にあがったことで気になったのことなのですが「綺堂は演劇を意識した文章」になっていて、「谷崎は映画を意識した文章」になっているという点が非常に興味深かったです。
綺堂は人物の台詞が非常に多くて、地の文はまるで演劇の脚本におけるト書きのような印象なんですよね。実際、戯曲家としても活動していましたし、寄席や芝居についての随筆もたくさん書いています。
谷崎は今回の人面疽ではまさに映画が作中に登場し、劇中劇のような構成になっています。「大映し」や「焼き込み」といった映画用語が多様されたり、「昔の映画は、使われなかったクズフィルムをよせ集めて、お遊び映画を作られることがよくあった」という映画関係者にしか分からないような絶妙なネタをバックグランドにしてシーンが進んだりします。

頭の中で映し出されている情景が違うことで、書かれる文章に違いがでているんですね。

「他の人面瘡作品は男性が被害にあうことが多いのに、どうして谷崎では女性が被害に合う対象に変えたんだろう?」という話題が出たときも、「映像化を考えたときに、中年のオジサンよりも若くて美しい女性のほうが絵になるからでは?」と、映画製作者ならではの発想の転換があったのではないかという考察ができました。

同じ日本語を使っているはずなのに、文芸には無限の表現方法があることを感じさせてくれます。素敵。
メディアの種類が多様化している現代ならば、もっともっといろんな視点があるはず。
これは今後の台本班の活躍に期待しないわけにはいかない展開です!
これからの公演が楽しみになってきましたね。



さて、次回の研究会は、まさにこれからの公演に直接かかわりのあるお題を取り扱います。
今年は四条の新京極商店街にある誓願寺で公演を計画中です。
なので、誓願寺にまつわる怪談を研究しようという運びになりました。

タイトルは「「串刺しの母」から「盗む婆」へ 〜誓願寺幻影譚の原風景~」です。
久しぶりの我らが元締・堤先生の発表です。

どうぞ奮ってご参加ください。お待ちしております!
泡沫ログno.1
あけましておめでとうございます。
はじめまして('∀')
怪談初心者の泡沫はなびです。
うたかたと書いてあわまつと読んで下さい。

今年から研究会に参加した内容をもとに、私なりのちょっとした感想や研究会の様子を自由に綴っていこうと思います。
余裕があれば他に参加されている方々のコメントや写真も配信できればと思っています(;'∀')

怪談文芸研究会は、怪談朗読公演を行っている百物語の館の研究部門なのですが、外部の方でも誰でも参加できます
県境を越えて遠方から来て下さる方もいますし、参加者の年齢もとても幅広いです。


江戸の文学は、自分とは関係のない…どこか遠い存在のように感じられます。
はじめは言葉もあまり読めないし、現代のように成熟した起承転結もまだないので「古臭い」って思うかも。
しかも怪談。
ますます縁のないものに感じられます。

でも、実は現代の、すごく身近な小説やアニメに流用されていたりします。

証明になるかどうか分かりませんが、大きい本屋さんに行って、マンガコーナーやラノベコーナーを覗いて見てください。
「妖怪」「天狗」「あやかし」「鬼」「怪異」「幽霊」といったモチーフを使っている作品が数えきれないほど並んでいるのが分かると思います。

野球漫画を読んでる人を見て「なんて変わった人なんだ!マイナーな趣味してるなあ」と思う人はいないと思います。
でもそれが「怪談」だったら、どうでしょう?「変わってるなぁ」って、ついつい思っちゃいません?

試しにAmazonの本>コミック・ラノベのカテゴリーで野球作品を2016年販売の新単品のみで検索すると、2016年の発売タイトルは107件ヒットします。

それに比べ、怪談作品は400件。
タイトルにも作品紹介にも怪談というキーワードを入れない作品は多くありますので、可能性のある他のキーワードでも調べてみますと、
妖怪は175件。
怪異は107件。
もののけは225件ヒットします。

中には重複して検索に引っかかっている本もあると思いますが、それにしても野球作品の107件に比べて圧倒的な数の作品が生み出されていることが分かります。

怪談って、実はもうマイナーなジャンルではないのです。


古典怪談を読むことは、民俗学に通じる楽しさもあります。
私たちが日常で当たり前のように知っている昔話や祭など、習慣の起源が、たくさん江戸の怪談文芸に隠されています。
これを発見できるのが、楽しい!


そんな日本の怪談文芸の元祖を、コアな文学ファンから私のようなド素人まで、文学が好きなら誰でも学べるのが怪談文芸研究会です。
研究会の雰囲気を、少しでも感じていただけましたら幸いです。

どうぞよろしくおねがいします(^▽^)
泡沫ログno.0