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次回の研究会

2020年9月12日(土)17時~
会場:zoom

テーマ:「江戸の怪談サロン」
発表者:門脇大


受講は無料です。
受講を希望の方は前日までに100mono@infoseek.jp(百物語の館 事務局)までご連絡下さい。

※次回より怪文研のお知らせはリニューアルしたホームページで行うことになりました。詳細は最新記事をご覧ください。

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蛇は、日韓の多くの説話に共通して現れる素材である。人を想う気持ちが大きくなり、その欲望と執着で蛇となったものを、韓国で「相思蛇」と呼ぶ。「相思蛇説話」とは、誰かが相思蛇となり、その蛇が思慕の対象に取り付き(取り付こうとし)、最後に相思解き(相思蛇が離れたり死んだりすることによる解決)が行われる、という構成要素をもつ説話類型のことを指す。
今回検討対象とした『韓国口碑文学大系』は、全国を60カ所に分けて現地の説話を人々から聞き取って記録したもので、1979年~1988年にかけて本編82巻が発刊された。2009年以後、採録が改めて行われ、2013年~2015年に29冊が増補版として発刊されている。
この中では相思蛇説話は59件が採話されている(男性蛇説話18件、女性蛇説話41件)。全国的に分布しているが、特に南海岸地方で多く採録されている。特に増補版では男性が蛇になる話の比率が以前より高くなっている。
本発表では、男が蛇になった話を中心に内容を分析した。内容において身分の差という社会的な要素も存在するが、女性に関する儒教的抑圧のほうが大きいと考えられる。男が蛇になる場合、恋心や愛欲で蛇になることが多く、一方的なものが多い。特に多く登場するモチーフの一つが、男(僧侶)が家に来た時にこっそり門の隙間から男を見たことで男からも見られ、その男に惚れられて相思蛇がついてしまう女の話が多い(8件)。話の終わりに「だから昔から門の隙間から覗くのは良くないと言われている」と閉められている場合が多い。つまり、蛇に取り付かれた女に非があるという言い方で、身だしなみをしっかりするようにという教訓として語られている。「内外」と言い、男と女は大人になると一緒に話もしないことはもちろん同じ場所にいるのも控えていた。女は男が家に来たとき、気になって隙間から、あるいは門の穴から男を覗いた。(大きくなってから家から出ることがふさわしく思われていないため)父が家から出ないように言ったが、勝手に外出をした。親戚の男にだらしない態度を見せたなど女性の態度が問題になったという言い方が多く見られる。
朝鮮時代は身分違いの結婚が厳しく禁じられていたので、自由恋愛に対する恐怖や警告が見られる。特に女は再婚も離婚もできず、男だけが複数の女性との結婚が認められている根本的に不平等な儒教的家父長制社会で女性を守るための方法であったとも考えられる。また、女性の性的欲求などは社会規範に外れたものとして表現されず、偉人や学識のある男性への敬慕のような話が好んで語られていったと考えられる。儒教的掟として女性には「七去之悪」というものがあり、その中で淫乱な女性を警戒している。そして、女性はそうした価値観を受け入れるよう強いられたと同時に、そうした価値観を内面化して時には命までかけていたことも伺われる。
タイトル:『韓国口碑文学大系』から見る相思蛇説話
報告者:パク・ミギョン
会場:四条蛇庵 16:00より
第34回怪文研2017年12月23日(土曜日)

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