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次回の研究会

2020年9月12日(土)17時~
会場:zoom

テーマ:「江戸の怪談サロン」
発表者:門脇大


受講は無料です。
受講を希望の方は前日までに100mono@infoseek.jp(百物語の館 事務局)までご連絡下さい。

※次回より怪文研のお知らせはリニューアルしたホームページで行うことになりました。詳細は最新記事をご覧ください。

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韓国の恐怖映画『月下の共同墓地』から見る女性鬼神の視覚表象―日本の幽霊との比較を手がかりに― (1)
韓国の鬼神(女性幽霊)は、古くから様々な説話や怪談に登場していたものの、視覚的に描かれたのは植民地時代になってからのことであった。そこには日本の幽霊の影響が見られると考えられており、先行研究では新聞の挿絵などの影響が指摘されている。本報告では、これまで注目されてこなかった歌舞伎などの舞台芸術の影響について考察した。
1890年代から1900年代初頭の朝鮮では、 仁川、京城、釜山、元山、平壌などの日本人劇場で日本の伝統劇である歌舞伎、狂言、浄瑠璃が多く上演されていたことが確認できる。 例えば、釜山では1906年に松井座、幸座を中心に、京城では1907年から本町座、坂本座、歌舞伎座、壽座、京城座を中心に歌舞伎や浄瑠璃から新派に至るまで多様なレパートリーで上演された 。その中には怪談も多く見られ、例えば1921年8月15日に狂言「四谷怪談」が浪花座で、1922年8月14日に歌舞伎「怪談牡丹灯籠」が京城劇場で上演されていることが確認できる 。  
その後、これらの劇場では活動写真(映画)も上映されており、そこにも多くの怪談映画が見られる。当時の新聞である『朝鮮時報』と『釜山日報』の広告欄から、『四谷怪談』、『牡丹灯籠』、『番町皿屋敷』など歌舞伎としても人気があった怪談が映画化され、朝鮮でも多く上映されていたことがわかる。
さらに、植民地時代以後の日本の大衆文化が禁じられていた時期にも、日本の怪談コンテンツは韓国に影響を与え続けている。国際映画祭などで映画関係者が日本の映画に触れて影響を受ける場合もあると思われるが、主な経路は海賊版コンテンツと考えられる。韓国では50年代末からテレビ放送が開始されたもののコンテンツが乏しく、釜山を含む南海岸当周辺ではアンテナを設置し日本のNHKやNBC(長崎放送局)のテレビ番組を視聴することが多かったが、そのコンテンツのなかには新東宝など日本の怪談映画も含まれており、これらは韓国の怪談映画やドラマの製作者にも大きく影響していたと考えられる(現在は仮説の段階であり、具体的な検証は今後の課題としたい)。
そして、韓国の典型的な鬼神の姿が見られる1967年の映画『月下の共同墓地』の鬼神を検討した。鬼神は墓が割れて出てきて復讐に向かう。「ヒュードロドロ」という音と煙とともに登場し、足下は見えない。長い黒髪に手の甲を見せている。牙を出し、口元には血が付いている場合もある。逆さまに登場したり井戸から出てきたり、子供を抱いて姑獲鳥のような姿で現れたりする。このように、韓国の鬼神の視覚イメージは、植民地時代から日本の怪談歌舞伎から怪談映画の影響を受けて形成されており、60年代の段階ではほぼ同じ特徴を持った鬼神(幽霊)像が定着していたと考えられる。



報告者:パク・ミギョン
会場:四条蛇庵 16:00より
第46回怪文研2019年4月13日(土)

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